今回は2日間歩く計画にした。泊まりは黒崎キャンプ場。行程が複雑で混乱してしまうので紙に書いて何度も確認する。お年寄りみたいだな。
9.4自宅(車)→普代駅(三鉄)→堀内駅(歩き)→普代駅(車)→黒崎キャンプ場泊。
9.5黒崎キャンプ場(車)→田野畑駅(三鉄)→普代駅(歩き)→田野畑駅(車)→自宅。
途中久慈駅に寄って再び雲丹弁当を買い(ほとんど依存症)、時間があるので普代駅で腹ごしらえする。普代は川沿いの細長い土地。商店街や村役場があり、駅は珍しく有人で土産物屋が併設され、握り寿司のお弁当なども売っていた。この辺では少し栄えている。でも狭くてまとまってはいるけど、のんびりしてはいないかな。
堀内駅で下車。海に向かって降りると堀内漁港に出て、それに続く松磯公園を歩く。
手前が三鉄、向こうが45号線。こんな巨大な橋、ずいぶんお金がかかっただろうと思う。左手に見えるのは車で通ると目立つ「レストハウスうしお」という見晴らしの良さそうなレストラン。ここからかすかな踏み跡のトレイルをじわじわと登っていき、途中で三鉄を超える。
車道に合流し、白井海岸に向かって降りていくと駅がある。この辺りは所々しか人家がないけど、以前は海水浴でにぎわっていたのかなと思う。写真右側の道を降りていく。
白井海岸から海沿いに進むと「力持海岸」だ。
ここから川に沿って内陸に入る。三鉄と交差する少し手前で、左側にトレイルの標識があり沢に沿って降りる地点。ここでアスファルトに座って休む。全く人も車も通らない。谷の地形だからだろう、海風が道路に沿ってずっと渡ってきて気持ちいい。
「海風が道路の上を追ってきた」
ここからのルートは、潮風トレイルの中でもかなりハードな部分だと思う。まず登った分沢に沿ってどんどん下り、倒木を渡って沢を超える。踏み跡はかすかであり、たまにトレイルを知らせるテープを木の枝に見つけるとほっとする。
宇留部山頂上に着くと今度は沢に沿って下っていく。沢は緩やかな滑滝になっていて、右へ左へと飛び越えながら進む。道というより沢そのものなので「ほんとにルートか?」と疑う。そのためだろう、「ルートは間違ってないですよ」と知らせるテープがここは頻繁に巻いてある。
延々と降りて不意に林道に出ると、そこは普代中学校の裏側であった。夢の世界から現実世界にワープしたような錯覚に陥る。これぞまさに「不思議の国の北リアス」。普代村のパンフレットによるとここは昔の通学路だったらしい。北三陸に住んできた子供たちの底力に驚く。
普代駅でお土産を買い、村の何でも屋さん「まるに」で蚊取り線香を買い、黒崎キャンプ場に移動する。コロナあり、季節外れでもありキャンプ場内はほとんど人が居なかった。国民宿舎くろさき荘には大浴場があり、気持ちいいだろうけど我慢する。
テントを立てるとあっという間に暗くなり、海の音が恐ろしいほど響いてきた。トイレの壁には蛾が集まっている。ここはもう秋だ。
きっとこの辺りでも震災で亡くなった方々がいたのだろうなと、思い始めたら寝付けなかった。朝方、寝袋の中で怖い夢をみた。
「秋風と震災の夢崖の上」